形振り構わず愛をくれ!
「何たる体たらく!茶道の家元・裏佰家(うらひゃっけ)の、霜月 八雲(しもつきやくも)の許嫁ともあろう者が、そのようなヒワイな格好を……」
「あ…いや…これ、は…‥」
しまった。いつもなら、若の家に来る前に長さを元に戻すはずなのに、今日は急な呼び出しだったから、すっかり忘れていた!
「あれ?若は、生脚お嫌いなんですか?俺は、ピチピチの女子高生の肌が拝めて幸せ……」
「よし、エンジョウ。今すぐその両目を潰せ」
「潰さなくていいです!元に戻しますから!」
捲り上げていたスカートの丈を下ろそうと、制服のウエスト部分に手を入れたところを、何故だか全力で阻止される。
「馬鹿者!ヘソが見えているではないか!!」
「あ…すみません」
「すみませんで済むか!嫁に行けない体になったら、どうするつもりだ!?」
「相変わらず、若は大げさだなぁ」
おかしそうに、ケラケラと笑い声をたてる苑条さんを睨みつけた後、若はその恐ろしげな顔を再び私の方に向けてくる。