形振り構わず愛をくれ！

「そう言う事だヒナ鳥！もし私に捨てられたくなかったら、もう二度と同じ過ちは……」

「あ、ひな子ちゃんの携帯に着信ですね」

すると、そんな時に限って、鞄に入れていた携帯がタイミング悪く着信を報せる。

固定着信音ではないメロディに嫌な予感を感じ、慌てて相手が誰かを確かめようとした矢先に、横合いからひったくるようにして奪われる。


「若！ちょっと待……」

慣れない電子機器に四苦八苦しながらも二つ折りの携帯を開き、ディスプレイ表示を確認した若の眉間にしわが寄るのを見て、おのずと緊張が高まる。

ど、どうしよう…もし、今日遊びに行った人の内の誰かだったら……


「誰だ？」

「え…」

ずいと顔の前に差し出された携帯画面には、着信番号の表示だけ。

「出ろ」

「…っ」

無理矢理それを手に押し付けられ、耳にあてがわれる。