いじめ―裏切りの連続―
あ、あず…ちゃん…
「与紗何やってんのー?ねぇ、そこ早く片付けてよーキャハハハッ」
一人の女子が、アズちゃんに向かってモップを投げつける。それを見ていた皆も雑巾やホウキ、バケツを投げつけていく。
なんで…?なんで?なんでそんな平気で人の身体傷つけるの?
なんでそんな簡単に傷つけられるの?どうして?
「アズちゃ…「うっわー、超きったねぇー」
名前を呼ぼうとしたあたしの言葉は、男子によってかき消されてしまった。
あたしはどうすることもできず、そのまま立ち尽くしていると…アズちゃんとバッチリ目が合ってしまった…。
「き、きさ・・・き・・ちゃ・・・n」
あたしは一瞬、名前を呼ばれてビックリしたと同時に、アズちゃんの傷のついた頬と、涙の溜まった目を見て、なぜか心がキュッと締め付けられた。
「アズちゃん…」
でもあたしは、助ける勇気なんてなくて…ただ名前を呼ぶことしかできなかった。
「……っ」
アズちゃんが「助けて!」と訴えている力ない視線と、皆からの視線に耐えきれずあたしはそのまま教室を出て行ったんだ…。