*恋の味[下]*
−雷斗Side−
時はあっという間に過ぎ、もう冬休み。
真麻は今ごろ大忙しなんだろうな。
ま、親父さんとよくなれたんだし、真麻にとっては一件落着だな。
俺は今、母親の買い物に付き合わされてる。
超自己中な母親に…。
「キャーッ!見てコレ!このバッグ!雷斗!しっかり見なさい!」
こんな感じで、もう1時間。
「見てるだろ」
いい加減疲れた。
なんでこういう時に限って、圭斗はデートなんだよ!
しかも、彼女かどうかも分からない奴と!
「コレとコレ!どっちにしようか〜?」
「どっちでも?」
一応返答はしてやってるのに、
「ああん?」
どこまでも自己中な女。
そして、どこまでも若づくりする女。
言ったら何されるか分かんねぇから、絶対言わねぇけど?
「つうか、もう帰っていい?」
このセリフ言うの、多分10回目くらい。
「いーやーよ!」
このセリフ言われるのも、10回目くらい。
ババアのくせして、子供っぽい言い方をする。
大人気ねぇ……。
すると、携帯が鳴った。
ディスプレイには[桜野 真麻]の文字。
俺は、ペラペラと店員さんと話しているお袋から離れて電話に出た。