*恋の味[下]*
「ここじゃダメなの?」
ちょっとブリッコ風に上目遣いで聞いてみる。
基本、こういうの嫌いなんだけどね。
オール無視されるんだから仕方ないよ、真麻!
……うん、自分に吐き気がします。
「ダメっていうか……ねぇ?」
眉を八の字に下げ、雷斗に話を振る翔。
本当何なのか気になる。
「いいわけねぇだろ」
かなりキレモードの雷斗を見ると、冷や汗をかいてしまう。
そんなに深刻な話なんだ…。
なんか寂しいじゃんね。
翔は軽く笑って、
「じゃ、俺ん家きなよ?すぐ近くだし、…ここじゃ危ないからね……」
語尾が小さくなっていくのを見逃さなかった。
絶対なんかあるな、この2人。
雷斗は翔の言葉に頷いて、
「んなら、真麻送ってくる。お前はそこにいろ」
と低い声で言った。
まさかの、のけ者扱い?!
少し傷ついたよ、私。
ま、大人しく帰るか。
余計に困らせたくないから、静かに頷いた。
不安な気持ちがあるけど、彼らを信用することにした。
「じゃ、夜、俺か彼氏くんが連絡するから」
翔が笑顔で私の頭を撫でながら言った。
雷斗はそれをすぐ引き離したけど…。
それでも、凄く安心できた。
……――私は本物の愚か者だ。