*恋の味[下]*


あのあと翔がどうなったのか、凄く気になる…。

ま、今度聞けばいっか!

手を繋ぎながら雷斗と歩く。

家分かるのかな…?

いや、新しい住所まだ教えてない!

不安になった私は雷斗に聞いてみると…、

「……知らねぇ」

…………。

分からないのに歩いてきたわけ?

ってことは、勘?!

…………。

「はぁー、」

盛大な溜め息をつくと、鼻を摘まれた。

「ぬ?!」

思わず変な声が出て、恥ずかしくなり雷斗の手を放そうとするが、男の力には勝てない。

「なひふんのー(なにすんのー)」

地味に痛いし……っ!

半涙目で雷斗を見ると、真剣な顔をしていた。

自然と放そうとする手の力が弱まる。

目が合ったと同時に、雷斗も鼻を摘む力が弱まり、しまいには放れた。

すると、いきなり抱きついてきて、肩に顔をうめてきた。

「ら…雷斗?」

びっくりして、いつもより少し高めの声が出る。

だけど、返事は返ってこず、ずっと無言。

「雷斗…?」

2回目。

普通の声のトーンを出せた。

でも、やっぱり返事は返ってこなくて、口からは返ってこなくても、体からは返ってきた。

力が強くなってる。

苦しいまではいかないけど、感じる。


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