*恋の味[下]*


暫く呆然として立って、2人で独り言のようにポツポツ呟いていた。

「リビングが納戸化してるよね…」

と、こんな感じで……。

顔がやつれていくにつれて、動こうとするような言葉が出たのは数分後のこと。

「仕方ねぇ。疲れたし、今日は寝よう。明日片付けようぜ」

お父さんが言った。

その言葉に、私は大きくゆっくり頷いた。

リビングの扉をあけると、別世界。

もう、天国と地獄って感じ。

私は、深く深く深呼吸をした後、部屋へと歩きだした。

自分の部屋だと思われるドアをあけると、軽く殺風景。

もろ、クールな男みたいな部屋。

だって、ベッドと机しかないんだから。

そんな部屋に、1人で顔を歪ませ、ベッドにダイブした。

目を閉じてため息をつく。

明日を思うと、なかなか寝れなかったのは言うまでもない……。

私が出た後、お父さんも私と同じような気持ちと行動をしたんじゃないかな……。


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