*恋の味[下]*
頼りっぱなしじゃダメ。
お母さんは、そう教えてくれた。
……違う?
いや、言葉にしてなくても“目”が言ってた。
いつも、いつも……。
私は、その“目”が嫌いだった。
今では、“助け”となり“成長”となったと思う。
雷斗と視線が交わること、1分…。
「帰るか」
そう、優しく微笑んでくれた。
久しぶりな気がして、不覚にもドキッとした。
きっと、私の気持ちと考えが分かったんだと思う。
「うん!」
だから、とびっきりの笑顔かできた。
安心を与えられたかな?
分からないけど……、自分にも自信がついた。
体ごと私から離れ、少し長めの綺麗な髪をかきあげる。
「で、どっち?」
「へっ?何が?!」
いきなり聞かれても…何のことだか…。
また、裏返った声が出た。
「道」
道、道、道……。
あぁ〜!道路ね!
言葉が少ないから分かんない!
「えぇっとー…右!」
……たまに、右左忘れるよね…。
「ん、」
突如出された手…。
「へへっ」
それは、雷斗の温かい手。
雷斗よりも私の方が手が小さいから、包みこめれないけど、包みこむように手を重ねる。
――……そして2人して右足をだした。