*恋の味[下]*
玄関の前までくると、お父さんはまだ入っていなかった。
「おせぇ!!手あいてねぇから開けて」
あ、そうだよ!
何やってんだ!私!
「ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん………」
“ごめん”を連発しながら動く私が気にくわなかったのか、「うるせぇ!」と怒鳴られてしまった。
なんつう屈辱……。
“ガチャッ”
やっとついたぁぁ!
達成感がすっごく味わえる!
ん〜っ!
背伸びをしていると、足で隅によせられた。
しかも、無表情というサービスつき!
高1というピッチピチの女子高生を足で寄せるとは!
ナイナイナイナイ!
いや、あってはならない!
「むぅぅー」
「俺、軽く不機嫌」
いや、知らせなくてもいいよ!
つうか、見てたら分かるから!
も〜、困る困る!
こんなんがお父さん?!
って思うのは私だけ?!
ため息をしながらリビングに向かう。
雷斗をソファーの上に寝かせて毛布をかぶさせてあげると、コーヒーをいれはじめたお父さん。
「えっとー……、ごめんなさい…」
チラチラとお父さんの顔色を確かめながら言う。
無駄にオーラ怖いよね、まったく。