*恋の味[下]*
その後も、何回か鳴った。
すべて、出なかった。
いや、出れなかった。
……なんて、言い訳に過ぎない。
「あー、お腹いっぱい!」
「作りすぎたな、こりゃ」
2人で完食は無理だった。
「んじゃ、部屋戻るね!風呂沸かしといてねーん!」
「お父様を使わせるとは、感心ならねぇが許してやるよ」
相変わらずヤンキー口調のお父さんにはもう慣れてしまった。
慣れって怖いなってふと思ってみる。
「やばやば、太ったー」
独り言をペチャクチャ言ってると、赤いランプがチカチカ光る携帯を見つけ、とりに向かう。
中を開けると、ディスプレイには、
着信:8件
メール:15件
そう書いてあった。
………なにこれ。
最初は笑みが混じった、そんなもんだった。
メールの内容を見ると、翔・倉橋くん・雷斗から来ていて、
“電話に出て!”
“シカトすんな”
“真麻!”
“寝てるのー?”
“メール見たら、即電話しろ”
そんな内容ばかり。
急いで着信履歴を見ると、そこも3人の名前で埋まってた。
なんだろう……。
嫌な予感がする……。
なにかを察した私は、着信履歴の1番上にあった人に電話をかけることにした。