*恋の味[下]*


「もっしもーし?」

なにも音がない。

電話、切れたのかな?

一度、携帯を耳から離して画面を見る。

うん、ちゃんと繋がってる。

だって、“通話中”ってなってるし。

もう一度、言ってみようと思い、耳にあてたとたん、

『……んだよ…』

微かに聞こえた、翔の声。

「な、なに?!」

やっと聞いた声にびっくりしちゃって声、裏がえっちゃったよ!

『アレ、俺がつけたんだよ』

確かに聞こえた。

ちゃんと聞こえた。

うん、つけたんだー。

…………

「…えぇぇぇ?!」

な、なんだなんだなんだなんだぁぁ?!

“味最強!”は翔がつけたと?

「えぇぇぇ?!」

『ちょ、煩いよ〜』

「あ、ごめんごめんご〜」

すっかり、電話中ってこと忘れてた。

『まぁ、いいけど』

「さんきゅーべりまっちー!」

『はいはい、賑やかすぎるから、お口チャックね〜』

「な、なんて失礼な奴!」

『あ、じゃあ降りてきてよぉん』

「話そらしたな!おい」

『んじゃね〜』

む、無念。


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