*恋の味[下]*
どれくらい時間がたったかは分からない。
「終わったぁぁぁ!」
お父さんの叫び声で、我にかえった。
気づけば、青く澄んでた空は茜色に染まっていた。
今度は夕日が綺麗すぎて、見惚れそう。
でも、部屋も気になるから戻ることにした。
中に入ると……、
「お、おとぅーん…」
リビング化されていた。
カーペットもひいてあるし、キッチンには食器が棚に入っている。
時刻を見ると……、
「よ、4時ぃ?!」
短い針が4、長い針が2と3の間だった。
「おー、真麻…」
声のする方を向くと……、
「あ、アフロ?」
少し長めの髪はぐちゃぐちゃに絡まっていて、穿いていたジャージのズボンは、いい年して腰パンになってた。
おい、パンツみえてるよ。
って、言いたいけど、それ以前に老化している。
「引っ越し〜いぇーい。引っ越し〜ぶー」
意味わかんねー。
いや、見た目は老化、頭は幼児化してたよ。
「はいはい、引っ越しですねー」
それでも大人?
「残りHP……1」
死亡寸前かよ。
「はい、薬草で満タン回復。さ、動けー」
「改心の一撃、残り1HP」
………めんどくせぇー。
なに?もう現実逃避しちゃった?
てゆーか、それでも大企業の社長ですか?