*恋の味[下]*
外は、コートを着てても寒くて、冬を改めて感じさせられた。
「さっぶー」
誰も聞こえない大きさの声で呟く。
マンションの周りには、建てたばっかの家や、建て最中の家がたくさんあった。
少しグルグルまわっていると、男の奇声や殴りあいのような鈍い音が公園の方から聞こえてくる。
音のする方を向くと、
「し、翔ぅぅぅ?!」
私の幼なじみの翔と、柄の悪い男の人が5人いた。
どうやら喧嘩をしているようで、私の声は届いてないみたい。
ってゆうか、1人相手に5人がかりとか……ださっ。
こうみると、翔って喧嘩強いんだなー。
柄の悪い男だけど、ゴツい。
その相手に負けてないのだから。
むしろ、勝ってる。
しかも、笑いながら喧嘩って……不気味。
でも、余裕そうな姿に、さすが副総長!と思う。
あの翔が、こんな翔になるなんてな〜……。
……まぁ、暇だし喧嘩でも見とこ。
もう終わりそうだけど、暇つぶしにはなるでしょ。
私は、公園の入り口の近くにあったベンチに座って見ることにした。