*恋の味[下]*
“バキッ”
“ドカッ”
“ドスッ”
一般人であれば、耳を塞ぎたくなるような音。
翔は綺麗にかわし、パンチや蹴りをいれて相手を倒すけど、相手も相手で、やられては立ち上がるからしつこい。
「あれ〜?もう終わり〜?」
気づけば5人とも倒れてて、翔がその1人の胸ぐらを掴み、挑発する。
あんのバカ……っ!
立ち上がって、止めにいこうとした。
「しょっ…「むやみに突っかかってくんじゃねぇよ」
………っ…!
低くて威圧感のある声に、足がすくんだ。
「次仲間に手ぇだしてみろ。ただじゃおかねぇぞ?」
な、仲間……?
なんて、どこにもいないけど…逃がしたのかな?
ふっ…、いいとこあんじゃん!
そう思った私は、拍手した。
“パチパチパチパチ”
すると、みんな気づいたようで、
「まっ真麻?!」
と、翔が顔色を悪くさせて、こっちに走ってきた。
私はこのとき、翔の顔色が悪かったのは、びっくりしたからだと思ってた。
翔しか眼中にはいってなくて――、男がニヤッと笑い、電話してたなんて気づかなかった。
「もしもし?総長っすか?……峰内翔に女がいました!………え?名前?………たしか、“まあさ”です。………はい、撮っときます」
電話を切った後、
“カシャッ”
そんな音も聞いてなかった私は、バカだ……。
これで、またみんなに心配かけるようになるんだから。
時間が戻せれるなら…、戻したいよ……。