とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ミーシャの機嫌が良くないので、その日の夕飯はみんな大人しかった。
ユーリとコーディはこれ以上怒られない様に早々と自分の部屋へと退散する。
右京はなんと声をかけたらいいか判らず、黙って片付けを手伝う。
目も合わさないミーシャの威圧感に右京も息苦しさを感じた。
『あの…ミーシャ…?ご…ごめんな、デリカシーがなくて…』
『…別に…デリカシーがないのはウキョウじゃないわ。兄さんの方よ…』
『…いや…俺もちょっと浮かれてたから…』
そう言う右京をミーシャはチラッと横目で盗み見た。
今までに見たことない表情の右京に驚く。
…そんなに嬉しい事が…?
凄く気になる。
どうしようか悩んだが、ミーシャは思い切って右京に訊ねた。
『…何かいい事あったの?』
『ん?…フフ。あったよ。』
右京が嬉しそうに笑う度に嫌な予感がして、それ以上聞きたくない様な気持ちになる。
でも、気になって仕方がない。
ミーシャは平静を装って『どんないい事があったの?』と聞いてしまった。