とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
右京はちょっと返答に困った様に『うーん』と考える仕草をした。
『好きな女を奪還した!って感じ?』
“好きな女”…
『って…なに、奪還って…誰から奪還したの?』
『“俺”から!』
言葉の意味が理解出来ず、首を傾げた。
右京はただにやけながら鼻歌を歌っていた。
ミーシャは何か悔しかった。
自分には彼をこんな表情にする事は出来ないだろう。
『…ウキョウの好きな女の人って…どんな人?』
気がつくと聞かなきゃいい事を口にしていた。
『どんな…?普通の女の子だよ。』
『それじゃよくわかんない!…可愛い?』
『ん。可愛いよ?』
さらっと照れもせずそう答えた。
『可愛いけど…よく無茶するから目が離せない。
強情で…優しくて…よく笑う子。』
いとおしそうにそう語る右京が微笑んだ。
『明日あの丘に連れてく約束してんだ!ミーシャにも紹介するよ。』
まさかそんな事を言われると思って無かったミーシャは、咄嗟に『ええ。』と答えてしまった。
肩を叩いて部屋に戻る右京を見送って、ミーシャは自己嫌悪する。
そして大きな溜め息をつくと、激しく後悔するのだった。