とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




右京はちょっと返答に困った様に『うーん』と考える仕草をした。




『好きな女を奪還した!って感じ?』




“好きな女”…




『って…なに、奪還って…誰から奪還したの?』




『“俺”から!』




言葉の意味が理解出来ず、首を傾げた。




右京はただにやけながら鼻歌を歌っていた。




ミーシャは何か悔しかった。


自分には彼をこんな表情にする事は出来ないだろう。



『…ウキョウの好きな女の人って…どんな人?』



気がつくと聞かなきゃいい事を口にしていた。



『どんな…?普通の女の子だよ。』




『それじゃよくわかんない!…可愛い?』



『ん。可愛いよ?』




さらっと照れもせずそう答えた。




『可愛いけど…よく無茶するから目が離せない。
強情で…優しくて…よく笑う子。』




いとおしそうにそう語る右京が微笑んだ。




『明日あの丘に連れてく約束してんだ!ミーシャにも紹介するよ。』




まさかそんな事を言われると思って無かったミーシャは、咄嗟に『ええ。』と答えてしまった。




肩を叩いて部屋に戻る右京を見送って、ミーシャは自己嫌悪する。




そして大きな溜め息をつくと、激しく後悔するのだった。




< 109 / 461 >

この作品をシェア

pagetop