とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
たしかに最初見たときからガタイがいいとは思っていたが…
『…慣れてる感じだな…』
『んー…そうかもしれない。負ける気はしなかったよ。』
ユーリはそんなウキョウに興味が湧いた。
この男は何者なのだろうか…
『なぁ、ウキョウ。提案があるんだが…』
急に改まってそう切り出したユーリにウキョウは少し眉を寄せた。
『…なんだよ…』
『お前の記憶を取り戻すのに協力するよ。』
『…そりゃ有り難いけど…突然どうした?』
『俺が思うにお前はこんな辺鄙な所で燻ってちゃいけない気がするんだ。』
『はぁ?…意味わかんねーし…』
ウキョウは溜め息混じりに興味なさそうにカウンターに肘を着いた。
それを『いいから聞け』と自分の方に向かせるとユーリは真剣な顔をした。
『色んなものを見て記憶を取り戻すべきなんだよ!』
『…まぁ…そうかもな…』
『俺は明後日街に行く。お前も一緒に行って色々見てくればいい。俺も手伝うから!』
ユーリにズイズイと詰め寄られ、ウキョウはちょっと圧倒され『わかったわかった!』と彼の胸をを押し戻した。