とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
スーザンおばさんの言葉を思い出す。
“独りでは恋愛は出来ないのだよ”─と…
だが恋くらいならひとりでも出来る。
─私の“片想い”だって立派な恋だ!
右京はきっと近いうちここを出て行くだろう。
─私は…どうすればいい?
このまま何も言わないで気持ちを秘めたままにしておくの?
ドアの開く音が聞こえてユーリと右京が出てきたのが判った。
ミーシャは慌ててテーブルの上にあった聖書を開いて、勉強をしているフリをした。
『勉強してんの?』
『う…うん、復習しとこうと思って…』
『偉いね~…兄貴はこんななのに…』
『…妹も大差ないと思うぞ?内心なに考えてるか判ったもんじゃない。』
そう言ってユーリは顔を近づけると小声で『反対…』と聖書を指差した。
よく見たら上下逆さまの聖書に気付いて焦る。
ミーシャの額を指で弾くとユーリは半眼で睨んだ。
『飲みに行って来る。“コドモ”はとっとと寝とけよ!』
ユーリの発言に右京が『…コドモなの?』と聞いているのが判った。
『当たり前だ!こんなガキ誰が相手にするって!』
『うるっさいわね!早く行きなさいよ!』
ゲラゲラと笑いながら出て行くユーリ達にガックリと項垂れる。
─私…本当にあの人がいいんだろか…?
微かにミーシャは疑問を感じつつ溜め息つくのだった。