とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




   ◇◇◇◇◇◇◇◇

酒場までの道を歩きながら『ウキョウから飲みに行こうだなんて、始めてじゃないか?』とユーリは呟いた。



『ユーリが弱すぎて誘えなかったんだよ!』



右京が冗談混じりに言うと彼はクスッと笑った。



『ミーシャの事だろ?』



察していたらしいユーリは『何かやらかしたか?』と右京を見た。



『さっき忍の事聞かれたんだ。』




そう言って通り掛かったウェイターにビールを注文してカウンターに着いた。




『別に隠すつもりないから普通に答えたんだけど、まずかったかなぁと…』



『甘いな…ガツンと言ってやればいい。』



『相手がミーシャじゃなかったら言ってるよ。彼女はいい子だから言いづらい…』



右京の言葉にユーリは身を乗り出す。




『んな事言ってられんのも今だけだぞ?アイツ…何かヤラかすよ、きっと…』



『まさか!考え過ぎだろ~』



『判ってねぇなぁ~!…まぁウキョウとシノブなら大丈夫だとは思うけど…』



『…頼む…その話はヤメテ…』



赤面する右京を見てユーリはニヤリと笑う。




今日はずっとこの調子だ。



というのも、あの泉で忍と一緒に居るのを見られたのが原因だ。



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