とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ユーリは散々右京をからかう。
『なんつーか、美男美女ってアレも絵になるよな~…』
『はいはい、そーだねー』
もうイチイチ反応する気さえ起こすのも馬鹿らしくて、右京は適当に返事した。
こんな話をしたくて飲みに誘ったんじゃないのに…。
『あーーッ!ついてねー!』
発狂しそうな右京を笑うユーリ。
『明日忍とこっち来るんだろ?』
『ん。街に戻らないとだから長居はしないと思うけど…』
『お前もシノブのとこに泊まってくれば?ミーシャの機嫌気にするのも疲れるだろ?』
確かにあからさまに態度に出すわけにもいかないから精神的に疲れる。
悩んでみたが答えが出ない。
右京がどう言ったところでミーシャが傷付くのは確実だ。
だったらコソコソとしたくないし、自分に正直でいたい。
そうじゃないとミーシャどころか忍が傷付く。
右京としてはそっちの方が一大事だ。
『ウキョウはモテるからなぁ~!カッコいい上に性格もいいし…そりゃ俺でも惚れるわ!』
『…えっ?…お前は勘弁…』
ユーリは『なにお~!』と言いながら右京に絡んで来た。
よく見たら空のグラスが大量に鎮座していて右京はギョッとする。
『おまっ…いつの間にこんなに飲んだ!?』
結局この日も右京はユーリを担いで帰る羽目になった。