とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
しばらく沈黙が続いて、右京が肩を震わせて笑っているのが判った。
『…なッ…!本気なんだから!』
『あはははは!ゴメン、ゴメン!まさかそう来るとは思って無かった!』
真っ赤になって怒るミーシャを右京は涙目になりながらヨシヨシと頭を撫でた。
『ミーシャ。その行為になんの意味がある?』
『えっ?…意味?』
『そ。俺がそれを承諾したとして、それに何の意味がある?ただ虚しいだけだろ?』
右京にそう言われてミーシャは何も言えなくなってしまった。
右京はまだクスクスと笑いながら『それに…』と付け加えた。
『悪いんだけど、ミーシャとは物理的に無理だよ。』
『…物理的?』
『反応しねぇもん、俺~』
『なっ!…ひどい!!』
『あはははは!すまないね~』
ゲラゲラと笑う右京につられてミーシャも笑い出した。
─ウキョウには適わないな…
『なんか言った?』
『なんでもない!』
そうかと去って行く右京をミーシャは呼び止めた。
『もしウキョウが彼女に捨てられたら、私の所に来てくれる?』
そう言うミーシャに右京は優しく微笑んで首を振った。
『忍が俺を捨てる事はあり得ない。…例えあったとしても俺は忍以外はお断りだよ。』
全く靡かない彼をミーシャは凄いと思った。