とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ユーリはウキョウの返事に満足したようで、グイグイ酒を煽ると見たこともないくらいハイテンションになった。
『ユーリ…大丈夫?』
『あん!?何が!』
『何がッ…て…飲み過ぎだろう…』
まだ飲もうとするユーリを慌てて制してウキョウは彼を抱えて店を後にした。
完全に泥酔状態のユーリは呂律の回らない口でまだ何かブツブツ言っている。
『おまーは…行かなきゃいけねーんらよ…
こんなとこ…居ちゃ…』
『そーだな。わかったから寝るなよ!?』
適当に相槌を打ちながらユーリを引き摺る様に帰ってくると、椅子に座って本を読んでいたミーシャが顔を上げた。
『え!?今度は兄さん!?』
『ユーリがこんなに酒弱いと思わなかったんだ…すまない…』
『ウキョウが謝る必要ないわ。悪いのはバカ兄よ!』
ブツブツと文句を言うミーシャは寝室の部屋の戸を開けた。
『ミーシャはまだ寝ないのか?』
『もう少しだけ…今日スーザンおばさんに教わった所を復習したいし…』
そう言ってミーシャは手にしていた本を軽く掲げると肩をすくめたら。
ウキョウはミーシャの隣に座るとそれをちょっと覗き込んだ。
『なんだ聖書か…』
『うん、スーザンおばさんがくれたの。勉強しなさいって。』
そう言って聖書を見ながらミーシャは眉間に皺を寄せた。