とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~

烙印





馬車で来た道を徒歩で戻る。


忍が途中で根を上げるかと思ったが、意外と足取りはしっかりしていて驚く。




「これでも多少は鍛えてるのよ?」




「なんだ…弱音吐いたら抱いて行こうと思ったのに…つまんね~」




落胆気味の右京に忍は「残念でした!」と白い歯を見せた。





緩やかな坂道を登り、いつもの丘まで来る。



「わぁ…絶景ね~!…風が気持ちいい…」



「ん。俺のお気に入り。でも休むなら向こうかな…」



腰を下ろそうとした忍を抱き抱えて丘を通り越す。




太陽の光にキラキラと輝く水面を見て忍が「湖!」と右京の腕から飛び降りた。



湖の水を手ですくって口を付けた。



「冷たい!美味しい~!」



その様子を右京は木陰に座って満足そうに眺める。



忍は裸足になって右京の隣に腰を下ろした。



「あ~疲れた~!」



足を投げ出す忍の横で「少し休憩!」と言って横になる。



真似して忍も横になるとすぐ近くに顔があって少しドキッとした。




流れる雲を眺めながら思い出した様に右京は話し始めた。



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