とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
触れられた所から熱くなる…。
忍は飛びそうな理性を奮い起たせて脇腹に思いっきり肘鉄を見舞うと、右京の頭を掴んで反動をつけた。
次の瞬間右京の身体が空中で弧を描く様に舞った。
彼は地面に片手を着いて器用に体勢を立て直す。
ニヤニヤと笑いながら「ご馳走さま」と上唇を舐める右京に忍が真っ赤になった。
「ば…馬鹿!変態!何考えてんの!?」
「何って…それ言っていいの?」
頭に血が昇ってしまった忍は右京に向かって回し蹴りを怒濤の如く繰り出す。
風を切る音が聞こえて右京の顔がひきつった。
「なっ!?…忍、ジョークだって!」
「うるさい!!絶対負けないんだから!」
忍の攻撃をひょいひょいと巧みにかわす。
全く当たらない攻撃に忍はただ体力を消耗しただけだった。
ゼイゼイと息を切らして忍はその場にしゃがみ込んだ。
「なによ…何よ何よ!馬鹿にして~~!」
「別に馬鹿にしてないって!当たったら痛いだろ?」
「…もういい…疲れた…」
すっかりやる気を無くした忍はその場に寝そべって溜め息をついた。
右京はそんな忍の頭を撫でて「あち~!」とシャツを脱いだ。