とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ウキョウはその様子を観察していて思わず吹き出した。
『なんでそんな顔して読んでんの?』
『え?そんな顔って?』
『眉間。怖い顔になってるよ?』
ウキョウはミーシャの眉間を長い指で突っつくと、彼女は顔を赤らめた。
クスクス笑うウキョウを横目に口を尖らせて聖書に視線を戻す。
『…なによ…』
『なにって?』
『なんでこっち見てんの?』
テーブルに頬杖を着きながら首を傾げたウキョウを、まだ顔の赤いミーシャが睨む。
『…ミーシャってさ~…』
『なっ…なに!?』
微笑むウキョウからミーシャは目を放せなくなった。
次に言われる言葉に少し期待をしていたのにウキョウが発した言葉は…
『面白いよね。』
『……』
ミーシャは突然バンッ!とテーブルを叩いて立ち上がると涙目で睨んだ。
『ウ…ウキョウの馬鹿!』
驚いた顔のウキョウにプイッと背を向けると聖書を抱えて自分の部屋に行ってしまった。
『…なんだ?…』
ミーシャの反応に呆気に取られたウキョウは首を捻る。
俺、何かマズイ事言ったかな…
いびきをかいて眠るユーリの隣に寝転んでうーんと悩みながら床に着いた。