とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
モゾモゾと動く右京に気付いて忍は慌ててスタンドの灯りを消した。
手帖をサイドテーブルに置いて布団に潜り込む。
右京は瞼を微かに動かしてぼんやり忍を見ていた。
「ごめん、起こした?」
「ん…へーき…」
短く答えると腕の中に忍を閉じ込める。
─そしてまた眠りに落ちた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
右京は夢を見た。
断続して映し出される光景…
漆黒の羽根…
深紅の瞳…
ボロボロの潤…
泣き叫ぶ忍…
─そして─
堕ちる“自分”…。
闇へと引きずり込まれるように…
“マズイ”と直感的に感じる。
─そっちには行きたくない…
行くわけにはいかないんだ…!
このまま飲み込まれるのならいっそ…
“─消エテシマエ─”
◇◇◇◇◇◇◇◇
うなされていたらしく、全身酷い汗だった。
忍は夜中に一度起きた様だったが、今は気持ち良さそうに寝息を立てている。
それを見てホッとした。
彼女がうなされている自分に気付かなくて良かった…
昨日といい自分に起こっている異変に忍も相当不安になっているだろう。