とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
カーテンの隙間から白みかけた空が見えた。
─もうすぐ夜明けか…
とりあえず汗でベタつく身体が気持ち悪いのでシャワーを浴びた。
バスルームの割れた鏡を見て気が滅入る。
右京はその場から逃げる様にバスルームを出ると、ベットのシーツにくるまって眠る忍の傍らに座った。
頬杖を着いて寝顔を眺める。
それだけで気持ちが少し晴れる様な気がした。
忍の存在は右京の“活力源”だった。
忍が居なかったら自分の存在価値なんて無いに等しいと思う。
顔にかかった長い髪の毛をそっと指で退かす。
よく見たら男物のシャツを着ている。
「…それ、俺の服じゃね?」
前が少しはだけてそんなに大きくはない谷間に暫し釘付けになる。
「………ダメダメ…抑えろ俺!」
思考がマズイ方に行きそうになり、忍に背を向けてベットに寄りかかった。
ふとサイドテーブルに黒い手帖が置いてあるに気付いた。
手にとって開くと特徴的な忍の少し丸い字が目に入る。
チラッと忍を振り返って寝ている事を確認すると右京は手帖に視線を戻した。