とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




翌日の朝、珍しくユーリが起きて来なかった。



『うぅ…気持ち悪い…』



布団の上で悶えるユーリにウキョウは溜め息を着いた。



『あんな飲み方するからだよ…
とりあえず、今日は寝てろ。』


『…でも、今日はコーディをミサに連れて行く約束だったんだ…』


『ったく…俺が代わりに行くから!

そんな状態で無理されても迷惑だ!』


『…声がデカイよ…頭が割れそうだ…』



だらしなく布団に寝たままのユーリをウキョウは半眼で睨む。


そして思いっきり耳を引っ張り上げた。



『あいだだだ…ッ!』


『大人しくしてろよ!?バカ兄貴!!』




耳元でウキョウが大声でそう言うとユーリは悶えながらコクコクと頷いた。



その様子を見てウキョウはゲラゲラ笑いながら部屋を出て行った。



『…あ…悪魔…』



ひとりになった室内でユーリが弱々しく呟いた。






ユーリの部屋の前で待ち構えていたコーディはウキョウを見上げて『兄ちゃんは?』と尋ねた。



『二日酔いで死んでる。しばらくほっとこう。』


『…そっか…』



シュンと項垂れるコーディにウキョウは少し腰を曲げて目線を合わせた。




『なぁ、コーディ。ミサ一緒に行くの、俺じゃ駄目か?』




その言葉にコーディは満面の笑みを返した。




< 15 / 461 >

この作品をシェア

pagetop