とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
翌日の朝、珍しくユーリが起きて来なかった。
『うぅ…気持ち悪い…』
布団の上で悶えるユーリにウキョウは溜め息を着いた。
『あんな飲み方するからだよ…
とりあえず、今日は寝てろ。』
『…でも、今日はコーディをミサに連れて行く約束だったんだ…』
『ったく…俺が代わりに行くから!
そんな状態で無理されても迷惑だ!』
『…声がデカイよ…頭が割れそうだ…』
だらしなく布団に寝たままのユーリをウキョウは半眼で睨む。
そして思いっきり耳を引っ張り上げた。
『あいだだだ…ッ!』
『大人しくしてろよ!?バカ兄貴!!』
耳元でウキョウが大声でそう言うとユーリは悶えながらコクコクと頷いた。
その様子を見てウキョウはゲラゲラ笑いながら部屋を出て行った。
『…あ…悪魔…』
ひとりになった室内でユーリが弱々しく呟いた。
ユーリの部屋の前で待ち構えていたコーディはウキョウを見上げて『兄ちゃんは?』と尋ねた。
『二日酔いで死んでる。しばらくほっとこう。』
『…そっか…』
シュンと項垂れるコーディにウキョウは少し腰を曲げて目線を合わせた。
『なぁ、コーディ。ミサ一緒に行くの、俺じゃ駄目か?』
その言葉にコーディは満面の笑みを返した。