とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
“銀の修羅”
ここ最近、巷ではチーム同士の抗争が勃発している。
この日も例外ではなく、街をあるけば路地裏で繰り広げられる殴り合いにジンヤはうんざりしていた。
かく言う彼も“SEVEN”という名のチームに所属している若者だ。
トップのガクはほぼ引退したに等しく、実質上はジンヤの兄貴分にあたるゴウが仕切っていた。
ジンヤは彼の側近で、専らシタッパのお目付け役と言ったところだ。
数年前まではある人物が居たお陰で小競り合いも少なかったが、最近では元気の有り余ったチーマーが暴れて手に負えない程だ。
罵声を飛ばして殴り合う奴等にジンヤは近付くと「おい!」と声をかけた。
どうやらSEVENのメンバーではないようだ。
ホッと胸を撫で下ろしてからジンヤは「あのさ」と改まって口を開いた。
「ここらはSEVENの縄張りだ。あんま派手に暴れないでくれよ。野蛮だって勘違いされて迷惑なんだ…」
「あ~…あの腰抜けSEVENか。争い事が御法度らしいじゃねぇか。」
“腰抜け”と言う単語にジンヤはピクリとこめかみを震わせた。
「俺らは別に誰かと喧嘩したくてSEVENに入ったんじゃねぇ。腰抜けは粋がって吠えるお前らだろ?」