とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
右京と忍は買い物の途中だと言ってジンヤに手を振ると、仲良く腕を組んで街中へと消えて行った。
その後SEVENの溜まり場でもある“Axel”に姿を現した右京に、店の一同は異様な盛り上がりを見せた。
…一人を除いて…
カウンターに座った右京と忍はガクにカクテルを注文すると、ジッとこっちを見つめる視線に硬直する。
「…どーしたの?恐い顔して…」
「…どーしたかって…?どーもこーもないっすよ!!」
突然スイッチが入ったらしいジンヤは怒ってるのか泣いてるのか判らないが、とにかく凄い剣幕で喋り出す。
「俺、黒崎さんが失踪したって聞いた時、マジでショックだったんすよ!?忍さんもかなり滅入ってて凄い心配だったんすけど、ここの店の連中だって黒崎さんの事スゲー心配してて…でも多分俺が一番だったハズなんすよ!なのに“お前誰だっけ”って…」
機関銃の様にまくし立てるジンヤにさすがの右京も怯む。
「落ち着け、ジンタ!」
「ジンタって…俺、ジンヤっすよ!」
「泣くことないだろ!?」
「泣きたくもなりますよ…!だって、黒崎さん!」
「ハイ…?」
ジンヤはビシッとガクを指差した。