とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「黒崎さん、この人は?」
「…ガクだろ?」
「じゃあ、あの人は?」
「…ゴウ。」
そう答えるとジンヤがまたシクシクと泣き出して右京はギョッとした。
「ガクさんとゴウさん憶えてて、なんで俺を憶えてないんすか~~~!?」
「いや、そう言われてもなぁ…まぁ、そう卑屈になんなよ、ジンタ…」
「俺は“ジ・ン・ヤ”っすよ!!…これデジャヴっすか!?それとも、デジャヴという名の悪夢っすかぁ!?」
遂に号泣してしまったジンヤを見て、右京は助けを求める様にガクに視線を投げる。
…が、彼はさっきからずっと背中を向けて笑いを堪えていた。
右京は溜め息をついてカクテルに口を付けた。
その様子を見て忍は肘で右京を突いて声を潜める。
「…ねぇ、本当に憶えてないの?」
「ん。全く。」
キッパリ答える右京に忍はジンヤが気の毒になった。
「そのうちふと思い出すわよ!」
「気休めはいいっすよ…」
「なぁ、ジンタ…」
「ジンヤ!」
「ジンヤ…考え方を変えたらどうだ?」
「…考え方?」
右京は頷いてジンヤの肩に手を回した。