とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~



「前まで俺とお前がどんな仲だったかは憶えてない。だけど、それをリセットしたと思えばいいんだよ。」



「…すんません、解りやすく言って下さい…」



「例えば、その“黒崎さん”って呼び方やめてみろよ。“右京”でいいから!」



「ええっ!?…そんな、守護神を呼び捨てなんて…」



「じゃあ、“クロウ”でいい。イギリスではそう呼ばれてた。」



「…“クロウ”…」



「そうそう!それでいい。ちょっとはお前との距離、縮まったろ?」




右京がそう言うとジンヤは表情をパアッと明るくした。




「はい!!…俺、黒崎さんに…クロウに一生ついて行くっす!」



そう言うジンヤに「一生はマジ勘弁。」と右京はあからさまに嫌そうな顔をした。



すかさず忍が拳を振り下ろす。




「空気読みなさいよ!何でそこで拒否しちゃうワケ!?」



「だって俺…」と右京は忍に顔を寄せる。




「…一生一緒に居たいと思うの…忍だけだもん。」




そう耳元で囁くとハムッと耳たぶをアマ噛みした。




「ちょッ…!なにすんのよ!?」




真っ赤になって怒る忍を右京は楽しそうに眺める。




それを見てガクは「健在だな」と呟いた。





< 156 / 461 >

この作品をシェア

pagetop