とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「前まで俺とお前がどんな仲だったかは憶えてない。だけど、それをリセットしたと思えばいいんだよ。」
「…すんません、解りやすく言って下さい…」
「例えば、その“黒崎さん”って呼び方やめてみろよ。“右京”でいいから!」
「ええっ!?…そんな、守護神を呼び捨てなんて…」
「じゃあ、“クロウ”でいい。イギリスではそう呼ばれてた。」
「…“クロウ”…」
「そうそう!それでいい。ちょっとはお前との距離、縮まったろ?」
右京がそう言うとジンヤは表情をパアッと明るくした。
「はい!!…俺、黒崎さんに…クロウに一生ついて行くっす!」
そう言うジンヤに「一生はマジ勘弁。」と右京はあからさまに嫌そうな顔をした。
すかさず忍が拳を振り下ろす。
「空気読みなさいよ!何でそこで拒否しちゃうワケ!?」
「だって俺…」と右京は忍に顔を寄せる。
「…一生一緒に居たいと思うの…忍だけだもん。」
そう耳元で囁くとハムッと耳たぶをアマ噛みした。
「ちょッ…!なにすんのよ!?」
真っ赤になって怒る忍を右京は楽しそうに眺める。
それを見てガクは「健在だな」と呟いた。