とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
忍は右京の顔を見上げながら彼の胸を人差し指で突いた。
「右京が右京な事に変わりはないもの!」
そう微笑む忍に堪らずガバッと抱き付いた。
「忍~~~!!大好き!」
「こら!恥ずかしいから離れてよ~!」
「ヤダ!!…絶対…ヤダ…」
突然真顔になった右京に忍はドキッとして言葉を詰まらせた。
子供みたいに甘えて来たかと思えば、急に男の顔になる右京にいつも翻弄される…
「…ずるい…そんな顔…」
右京は恥ずかしそうに俯く忍の顎を掴んで強引に自分の方に向けた。
「知ってる?俺をそうさせてるのは…お前だよ?」
そんな事を言われたら抵抗も出来ない。
右京のキスは優しかった。
別人の様に乱暴な時もあれば、今みたいに優しい時もある。
何が右京をスイッチさせるんだろか…
そんな事をぼんやり考えていると右京が「もう無理!!」と大声を上げた。
「な…なに…!?」
「忍。早く帰ろう!」
「はぁ?…昼間は夜景でも見てから帰ろうって…」
「夜景?…んなのいつでも見れんじゃん…」
実も蓋もない事を言い出した右京に忍はムッと口を尖らせた。