とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
記憶
教会までの道をコーディと並んで歩く。
『ウキョウはカトリックだと思うんだけどなぁ…』
『ああ、これか…。』
そう言ってウキョウは自分の首に手を当てた。
このロザリオだけがウキョウの唯一の持ち物だった。
歩きながらそれをじぃっと眺めていたコーディは『変わったデザイン…』と小さな声で言った。
『クロスだからロザリオには違いないと思うんだけど…でもそんなロザリオ見たことないよ。』
『ただのアクセサリーかも知れないぜ?』
『ううん、きっとそういうのじゃないよ。…上手く言えないけどそんな気がする。』
真顔でそう言うコーディにウキョウは微笑むと彼の頭をポンと撫でた。
『コーディがそう言うならそうかもな。』
コーディの言う事は不思議と当たる事がある。
それは天気だったりユーリの帰宅時間だったり、大した事ではないのだが…
勘が鋭いのかもしくは何か理由があるのだろうか。
『着いたよ、ウキョウ!』
そう言われ顔をあげると賛美歌を歌う村人の声が聞こえて来た。