とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




忍は“またか”と不満げに右京を睨む。




「な…なんだよ…」



「あのさ~…なんでそうなの!?」



「…何が?」



「いつも思い付きでワガママ言うじゃない!!」




昔からこういう所があったが、未だに成長しない右京に忍は苛立ちを露にした。




「いつもじゃないじゃん!」



「八割方そうよ!」



「だって…忍が可愛いから…」




シュン…と拗ねた様に尻尾を垂れる右京に一瞬こっちが悪い事をした気になる。



忍は“イカンイカン!”と頭を振る。



ここで引き下がったら右京の思うツボだ。




「…ん…判った。ワガママ言うの止める。」



「…へっ?」




意外と素直に言う事を聞いた右京に拍子の抜けた返事をしてしまった。




「ん。…俺は忍が一番だから。」




寂しそうにそう言う右京に忍は「そ…そう…」と呟くように答える。



暫く黙って夜道を歩く。


「……」



「……」



「…ねぇ…」



「…ん?」



「…やっぱり…帰ろうか?」




大人しく肩を落としてしょげている右京に忍は堪らずそう言って覗き込んだ。




「…夜景は?」



「また今度でいいよ。」




ふと…右京の口角がニヤリッとつり上がった…




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