とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
瞬時に嵌められた事に気付いた忍は目を見開いた。
忍が何か言葉を発するより早く、右京が彼女をヒョイと肩に担いだ。
「ちょ…えっ?…えええええええええ!?」
「甘いなぁ~忍は…」
ゲラゲラと笑いながら右京は形の良い忍の尻を撫でた。
「どこ触ってんのよ!」
「ククク…この位どーって事ねぇだろ?後でもっと凄い事すんだから…」
顔を真っ赤にして騒ぐ忍を楽しそうに右京はからかった。
「掴まってろよ?」
そう言うや否や、人気のない路地に入ると右京は軽く跳躍をして跳び上がった。
フワリとビルの上に舞い降りると、更に高いビルへと跳び移る。
何度かそんな事を繰り返し、忍は騒ぐ元気も無くすっかり脱力していた。
自分の首にしがみつく忍の背中をトントンと叩く。
「ほら、顔上げて?」
ゆっくり顔を上げると眼下に広がる摩天楼の夜景…
思わず自分の状況を忘れて「わぁ…」と感嘆の声を漏らす忍に右京は微笑んだ。
「ちょっと意地悪が過ぎたよ…悪かった。」
「右京…」
「翼が無いからこんな夜景しか見せられないけど…」
その言葉に「最高に素敵よ」と忍も微笑んだ。