とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
離別
◇◇◇◇◇◇◇◇
右京がAxelに復帰して数週間経ったある日、珍しく仕事帰りの忍が店に顔を出した。
「言ってくれれば迎えに行ったのに…」
「迎えって…ここ駅から5分じゃない…」
呆れた様な忍が「それに」と付け足した。
「今日は待ち合わせなの。残念ながら右京には用はないわ。」
「ええっ!?…ひでぇな…」
楽しそうに会話をする右京をゴウが「サボるな!」と一喝していたが、当たり前の様に無視をする。
「で?誰と待ち合わせ?」
「セリとクミよ。覚える?」
「多分顔見れば思い出すと思う。」
「おい!黒崎!」
ゴウに睨まれ、「っんだよ!」と逆ギレする右京に忍が少し慌てる。
「今忙しいんだよ!」
「おまっ…!こっちの方が忙しいっての!仕事しろよ!」
「あ…ほら、二人とも来たから、右京も仕事に戻って!」
「…なに、俺がいちゃマズイの?」
「え…じゃなくて、ゴウさん怒ってるし…」
それでも忍の側を離れない右京にゴウもキレたらしく、彼の耳を掴んで引っ張って行った。
「お待たせ、忍!」
「右京君、相変わらずね…」
クミにそう言われ、忍は少し恥ずかしくなった。