とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「…不安。…いつか私の隣から右京が消えるんじゃないかって…」
「…消える…?」
忍の言葉に右京の背中がズキッと傷んだ。
「…前に…同じ事を言ったね…?」
右京はあの事件の前日を思い出す。
「…あの時、俺本当に消えたもんな…。忍の不安は俺のせいだ…」
「…もう消えないでね?…私の為に…側に居て。」
忍は右京をギュッと抱き返してそう呟いた。
右京は優しくハッキリとした声で答えた。
「俺は消えない。忍の為に生きるよ。」
─もう二度と哀しませたくないから。
「…もし、俺が人として生きる事が許されたら…命が尽きるまで傍に居てくれる?」
「うん…傍にいるよ。」
その言葉に右京は最高に綺麗な笑みを浮かべた。
「誓って、忍…。俺を信じるって…」
右京が愛しそうに自分を見つめてそう言う。
忍は少しドキッとしながら笑みを返した。
「私は右京を信じてるって誓うわ。」
右京は身を屈めて忍に誓いの口づけをした。
─この世の全てに誓う。
─俺は忍と共に生き、忍と共に死を迎える。
─それを阻む全てを一掃すると…。