とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




『ところで…』とニックは右京に言いづらそうに声をかける。




『…?…なんだよ…』



『いや…それ…なんとかしろよ…』




そう言って右京の胸を指差す。



さっきから感じていた視線はコレのせいか…



胸にある数ヶ所の赤い斑点を言われたと気付いて『エロいだろ?』とにやけた。




『見てるこっちが恥ずかしい…っつーか俺が付けたと思われるのが嫌だ。』



『んなの俺が嫌だっつーの!』




女避けにと思って忍に「付けて」と頼んだら、彼女は調子に乗ってあちこちに付けたらしい…。



結果、女避けどころか隠す羽目になってなんの意味も無かった。



恐らく昔自分が忍にした“仕返し”のつもりなのだろう。



「ふざけんな」と怒るところなのだろうが、右京的にはそんな忍が可愛くてつい許してしまう。



ニヤニヤする右京を『気色悪ッ…!』とニックはオーバーにおどけてみせた。



『ほっとけ!…なんか着ればいいんだろ!?』




右京は『うるせーな』と言いながらハーフパンツとTシャツを着るとiPodを片手に戻って来た。



『走って来る。まだ居るか?』



『ん…まだまだ居るよ。作業が貯まってるから。』



そう言ってニックは右京に手を振った。




< 193 / 461 >

この作品をシェア

pagetop