とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『ところで…』とニックは右京に言いづらそうに声をかける。
『…?…なんだよ…』
『いや…それ…なんとかしろよ…』
そう言って右京の胸を指差す。
さっきから感じていた視線はコレのせいか…
胸にある数ヶ所の赤い斑点を言われたと気付いて『エロいだろ?』とにやけた。
『見てるこっちが恥ずかしい…っつーか俺が付けたと思われるのが嫌だ。』
『んなの俺が嫌だっつーの!』
女避けにと思って忍に「付けて」と頼んだら、彼女は調子に乗ってあちこちに付けたらしい…。
結果、女避けどころか隠す羽目になってなんの意味も無かった。
恐らく昔自分が忍にした“仕返し”のつもりなのだろう。
「ふざけんな」と怒るところなのだろうが、右京的にはそんな忍が可愛くてつい許してしまう。
ニヤニヤする右京を『気色悪ッ…!』とニックはオーバーにおどけてみせた。
『ほっとけ!…なんか着ればいいんだろ!?』
右京は『うるせーな』と言いながらハーフパンツとTシャツを着るとiPodを片手に戻って来た。
『走って来る。まだ居るか?』
『ん…まだまだ居るよ。作業が貯まってるから。』
そう言ってニックは右京に手を振った。