とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
休学の表向きの理由は“事故”って事らしかった。
“らしかった”と言うのは叔父が適度な理由を並べたらしく、『よく覚えていない』と言われたからだ。
翌週、その詳細が明らかになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
大学の講堂で久々に会ったリーに開口一番言われた台詞は…
『今回は災難だったね…クロウが無事で良かった…。』
…だった。
とりあえず『ありがとう』と返事をしていると向こうからやって来たジェイに捕まる。
『おい!じーちゃん倒れたんだって!?』
…なんだって?
『しかも病院に行く途中、お前もバイクで事故ったとか…ホント災難だったな!』
『あ…ああ、そうなんだよ…。』
…あんのクソオヤジ…
ひきつる顔で怒りを抑える右京に『きゃ~クロウ!?』と聞き覚えのある声が聞こえた。
『私、サラよ!?覚えてる!?』
『ああ…サラ…久しぶり。』
『も~心配したのよ!?一次的に記憶喪失だったんでしょ!?』
…いや、間違ってはいないが…
隣にいたメアリーが神妙な顔になった。
『そりゃお爺さんも驚いて危篤状態になるわよ…でも二人とも無事で良かったわぁ…』
……それは叔父さんの願望か?
色々とツッコミどころ満載の話に目眩を感じた。