とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
こっそりとコーディの隣に戻ると、丁度司祭の説教が終わり賛美歌の為のオルガンの音が鳴り響いた。
コーディはチラッとウキョウに視線を投げて『大丈夫?』と聞いた。
『心配させてすまない…もう何ともないよ。』
そう言って微笑むとコーディも釣られて笑った。
コーディと並んで教会を出ると後ろから『コーディ!』と呼ぶ声が聞こえて二人は振り返る。
『アリス!来てたんだぁ!』
アリスと呼ばれた少女はウキョウを見て首を傾げた。
『…ユーリじゃないわよね…誰?』
『俺はユーリの代理だよ。』
『兄ちゃん、体調が悪いみたいだから今日はウキョウと来たんだ。』
『ウキョウ…?』
『ただの居候だよ。』
アリスはふーんと言いながらじろじろとウキョウを舐め回す様に見る。
さすがのウキョウもその視線にちょっと怯みながら『なんだい?』と尋ねてみた。
『あなた…イケメンね。』
『…あ…ども…』
『アリス、この前は兄ちゃんの事狙ってた癖に…』
『うるさいわよ!子供は黙ってなさい!』
『子供って…同い年じゃないか…』
『セイシンネンレイの話をしてんのよ!』
『あーそうですか。』
半眼のコーディと何故か怒り出したアリスを見てウキョウが『仲いいんだね』と口を挟んだ。
『『よくない!!』』
ステレオ放送並の反応にウキョウは小さく笑った。