とある堕天使のモノガタリⅢ ～ARCADIA～

右京はムッとして枕を入口に居たニックに投げつけた。



『ったく、ガキだな！』



ニックは右京の銀髪をクシャッと撫でた。



『飲みに行くか？』



『…行く…』



『とことんお前に付き合ってやるから、そう暴れんな。』



右京はちょっと恥ずかしくなって黙って頷いた。




　　 ◇◇◇◇◇◇◇◇




数時間後、右京とニックは繁華街のクラブに居た。



しんみりと飲むと気が滅入るので、クラブの賑やかな空間は右京的にも助かるのだが…。



『…何故こうなる…』




女に囲まれ上機嫌のニックは『何が？』とにやけた顔のまま右京に聞いた。



『何が？…じゃないだろ！』



『シノブに相手にして貰えないんだから、他の女の子に相手をしてもらえばいーだろ！』




鼻の下を伸ばしたデレデレの顔で言われても説得力がない。




『女の子に相手をして貰いたいのはお前だろ!?』




『堅いこと言うな』と笑いながら言うニックに右京は溜め息をつく。




『コイツ、恋人に冷たくされて悄気ちゃってさ～』




そんなニックの台詞に『や～ん、かわいそ～』と鼻にかかる耳障りな声を発する女共に右京はげんなりした。