とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




右京の隣に陣取っている金髪の女は『安心して』と微笑んだ。




『オトナの事情は判ってるわ。一晩楽しんでサヨナラが基本でしょ?』




『…それ、なんの基本なんだ?』




『ここじゃみんなやってる事よ。色々悩むよりパァッとやって後腐れない関係が理想なの。』




右京は正直、理解出来なかった。




売春婦なら“お金を稼ぐ為”と言う理由がある分納得出来るが、この女達は違う。



ただ単に快楽の為だけだ。



『クロウはそういうとこ真面目だからなぁ…』




ニックの言葉に女達は右京を珍しそうに見た。




『そんな男の人も居るのね~…』



『まぁ、付き合うなら最高だけど…あまり魅力を感じないわ…』




『へぇ…そんなもんか…』



『女はね~ちょっと危険な香りがする男に弱いのよ。』




右京は『ふーん』と相槌打ちながらビールを煽る。




『貴方、同じ女ばっかで飽きないの?』



『全然飽きねぇよ?』



『聞く相手間違えてるって!コイツ普通じゃないから~』




─普通ってなんだ?




みんな浮気願望を持っていて当然なのだろうか?




『…よくわかんねーな…』




そう呟く右京に金髪の女は『気が変わったら教えてあげるわ』と囁いた。



それに対して嫌悪感たっぷりで『要らねぇし…』と答えるのだった。




   ◇◇◇◇◇◇◇◇



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