とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
数コールで出た相手は落ち着いた感じの男だった。
事情を説明するとその男は『直ぐに行く』と言って彼女を迎えに来た。
その男は青白い顔をした、気の弱そうな男だった。
派手な金髪女とはあまり釣り合わない男に、右京は少し面食らう。
『電話をくれたのはキミ?』
その男は『コイツ、本当に世話がやけるんだよ。』と言うと、金髪女を支える様に担ぐ。
『迷惑かけてすまなかったね…』
去って行く彼等を見送って右京も家路に着いた。
─だから“コレ”は金髪女じゃない。
寝返りを打つ様にもぞもぞと動く布団の塊を、右京は恐る恐る指で捲ってみた。
サラッとした長い銀髪の女…
「…はぁぁぁ…」
それを見て正体が判り、右京は脱力して布団に倒れ込んだ。
─そうだ、昨日帰って来たら“彼女”が居たんだ。
帰宅すると真っ暗な部屋の窓辺に佇む一羽の鷲に気付いた。
右京は窓を開けてバジリスクを招き入れる。
─遅くなりました─
『おかえりバージ。』
欠伸をしながらそう言うと、右京は靴を脱いで裸足になる。
ペタペタと歩いてついてくるバジリスクに『話は明日聞く…』言ってベットに倒れ込んだ。