とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『バージにはシノブとは違った意味でデレデレだな…』
『ん~…なんつーか…親の心境…かな?』
『わかるよ。お前にベッタリだもんな~。…シノブが見たら妬くな…』
『どーだろう…。』
バージは忍の好きそうなタイプだ。
妬くとしたら、右京にと言うよりバージに妬く様な気がする。
『…それはそれで面白くないな…』
真剣に悩む右京に釣られてニックもその微妙な三角関係を想像してみる。
荒れた忍のとばっちりを受けるのは自分だと気付いて『確かに…』と右京の言葉に頷いた。
『さて…時間が出来たからP2にでも顔を出すか…。』
『お!いいタイミングだ。実は最近ちょっと妙な噂があってな…』
その言葉に右京はニックを振り返った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ニックと共にアパートを出て、P2までそんなに遠くない距離を歩く。
そして彼は“妙な噂”について話し出した。
『クロウが消えたすぐ後辺りからあった噂なんだが、少女の失踪事件が相次いでね…』
その事件の捜査にあたったのはダンで、彼は当初から“おかしい”と思っていたらしい。
最初は少女らの失踪届けが出されるのが極端に遅い事に疑問を感じた。
届け出る人物にもよるが、どんなに遅くても一週間程で捜査願が提出されるのが普通だとか。
だが少女らの場合は1ヶ月程経ってからがほとんどだった。