とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『…最近のものは?』
『彼女じゃないんだが、一番最近の失踪事件の被害者の子なら…』
ロイが画像を表示させるとクリスはモニターを食い入るように見詰めた。
『ダンが鑑識のデータを拝借して来たんだ。彼女はモニカ・マンソン、20歳…俺達と同じ大学だ。』
『…この顔どっかで…』
『大学じゃないのか?』
『いや…違う。』
モニターに映し出されたモニカの蒼白な血色が悪い顔…
そうだ…最近会ったアイツに似ている…。
右京がそれを言おうとした時、クリスが先に言葉を発した。
『…“ストリゴイ”…』
一同がクリスに目を向ける。
『これは“ストリゴイ”だ。』
『ストリゴイって…吸血鬼だっていうのか!?』
ニックがクリスにそう捲し立てるが、彼は至って冷静に『そうだ』と答えた。
アランは自分のデスクに座ると両肘を着いた。
『オーケー、兄弟。…まず、彼について話そうか。』
そう言ってアランは眼鏡を人差し指で押し上げると、微かに笑みを浮かべるのだった。