とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
クリスがバレッタに弾を籠める作業を右京は観察していて、その一つを手に取った。
『やっぱりコレ銀製なのか?』
『ああ。アンデットは銀に弱い。それは吸血鬼に限らず共通してるからな。』
『…悪魔にも利くかな…?』
『さぁ…悪魔とやり合った事がないからな…。』
クリスは『専門外だ』と言うと右京から弾を受け取ってバレッタに装填した。
『それは“クルースニク”の仕事じゃない。』
そう言ってバレッタをホルダーに収めた。
慣れたようなその仕草が少しカッコよかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
アパートに帰って来た右京を出迎えたのは不機嫌な顔をしたバジリスクだった。
『どうした、バージ…』
『…どうしたもこうしたも…いっぱい着替えさせられましたよ…』
部屋の片隅に積まれた洋服を見て『…そうみたいだな…』と答えた。
『ついでによく判らない“拘束具”を付けられて苦しいです…』
『拘束具?』
何の事を言っているのかピンと来なくて右京は首を捻る。
そんな右京にバジリスクは『これですよ』と言いながら服を脱ぎ始め、慌てて止めた。