とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
振り返ったクリスに『行こう』と顎で合図すると二人はP2を後にした。
インカムを装着するとダウンタウンへと向かう。
途中、右京が思い出した様にプッと吹き出した。
『クリスでもあんな顔すんのな?』
『いや、意外だった…確かにアランはボスだ。』
右京はちょっと笑いながら『だな』と短く答えた。
『前にクリスを夜中に見た事があるんだ。…あの時はあの時間に何をしてるんだろうと不思議だった。』
『もう長い事“クルースニク”をしてるんでね。不穏な空気の流れが判るんだ。』
第六感と言うやつだろうか…。
もし本当に空気の流れが判るのなら素直に凄いと思う。
“クルースニク”に会うのは初めてだが、みんなこうなのだろうか?
『バンパイアハンターになってどのくらいだ?』
『15の時に初めて“ストリゴイ”を狩った。…17…いや18年前になるな。』
『…いつも独りで?』
『グレイが死んでからは独りだ。…まぁ、やる事は同じだし問題ない。』
クリスは『ちなみに』と横目で右京をチラッと見た。
『俺が狩るのはバンパイアだけじゃない。アンデットの類いについては一通り相手にした事がある。』
まるでそれが“当たり前”の様に言うクリスに右京は少し驚いた表情をした。