とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
彼にとっては多分“当たり前”の事なんだろう。
それが人間っぽくなくて、右京は少し親近感を覚える。
『意外と似てるのかもしれないな…俺とクリスは。』
そう呟く右京にクリスが微かに笑った。
ダウンタウンの近くまで来るとクリスが小さく『居る…』と言葉を発した。
右京は背負っていた日本刀の柄に手をかけながら辺りの様子を伺う。
『ロイ、監視カメラは?』
『異常ない。何も見えない。』
確かに感じる視線…
クリスが二丁の銃を構えた。
『…来るぞ…!』
次の瞬間複数の影が飛び出す。
意外に早い動きに右京は太刀を抜きそびれた。
『…チッ…!』
片手を着いて身を翻して避ける。
が、真後ろに感じた殺気に振り返ると鋭い爪が鼻先を掠めた。
『…!?…』
思わず仰け反る右京にストリゴイとなった女が気味の悪い笑みを浮かべた。
『…ふっ…舐めんなよ?』
右京の右目が紅く光を増す。
蹴り上げた長い足がストリゴイの顎を捉えた。
砂埃を巻き上げながら倒れたストリゴイをクリスが踏みつけ、真上から『アーメン』と言う言葉と同時に銀の弾丸を頭に撃ち込んだ。