とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
代わりに出た言葉は『いいなぁ』という場違いなものだった。
『あんな綺麗な鷲と友達だなんて、羨ましいよ!』
首を傾げたウキョウにコーディはそうまくし立てる。
するとウキョウはにっこり笑った。
『ああ、本当に綺麗だよな。…あの翼がなんだか懐かしくて、彼女の飛んでいる姿が好きなんだ。』
ウキョウは旋回する鷲を眺めてそう呟いたのだった。
そんな出来事を思い出しながらコーディはまたウキョウを振り返った。
『俺、最初ウキョウの事嫌いだったんだぁ。』
突然コーディにそう言われたウキョウは面食らったように呆けた顔をした。
ぷっと吹き出すコーディにウキョウは口を尖らせた。
『なんだよ!笑うなって!』
『だって…ウキョウの顔、面白い!』
クスクス笑うコーディを軽く小突いてウキョウはさっさと歩き出した。
コーディはそれを小走りで追いかけるとウキョウを覗き込んだ。
『でも今はウキョウの事好きだよ!』
ウキョウは優しく笑って『調子いい奴め!』とコーディの頭をグシャグシャと撫で回した。
二人は笑いながら丘を登ると並んで空を仰いだ。